新藤&谷崎ワールドの絶妙さおすすめ度
★★★★★
こういう邦画があること自体幸せです。
確かに商業映画ではありません。
新藤監督が谷崎潤一郎を描くとこうなるという代表的なものです。
二人の愛情、これは観ている観客ですら誰も分け入ることが出来ない崇高なものです。ただ、誰もこの舞台には立てない。
お互いの愛情表現は、贔屓目に見ても大人ではありません。が、純粋な愛情が二人をどのような姿に昇華させるのか。
ラブ&エロチシズムを日本らしく、編集の妙が言えば森鴎外の小説のようなガラスよりも繊細で、絹よりも滑らかな空間を演出しています。
こういう映像は、もっとも日本人らしいものではないかと感じてしまいます。
渡辺督子の演技力が、妖艶であり、稚拙であり、純粋な春琴を表現しています。このような女優が居たことは日本の映画界の宝ではないかと思われます。ロマンポルノはこのような女優を育てるのでしょうか?
ぜひ、一度観るべき作品です。
DVDでの再発、願っています。