このSFの主役は宇宙服かもしれません。SFの中ではあまりに普通で意識すらされない宇宙服ですが、この作品では主人公がオンボロ宇宙服を手に入れて修理していく様を克明に描きます。やがて月や冥王星での冒険に巻き込まれるのですが、主人公が宇宙服を(宇宙船ではなく宇宙服を!)駆使して危機を乗り越えていきます。最近、SF情報誌LOCUSがハインライン生誕100周年特集を組み、多くの作家が本書を愛読書としてあげています。長らく抄訳しかなく、ようやく全訳が出たのに絶版状態なのは残念です。
古き良きSFおすすめ度
★★★★★
少年キップが 石けんの包み紙によって手にした宇宙服。さっそく着用した彼が巻き込まれた大冒険。
ハインラインお得意の?こまっしゃくれたおちびさんと、何だかわからない生きものだけど頼りになるママさんと一緒に月へ、冥王星へさらに活躍の場所は宇宙のはてへ・・・
定番ではあるがハインラインのジュブナイルの最高傑作といっても過言ではない。主人公の少年の成長、相棒の少女との丁丁発止なやりとり、いかにもな悪役。読んでいてとにかく楽しい。
むかしむかし、冥王星がまだ惑星だった頃のお話。冥王星ファンは必読。そのためにも復刊を望みます。
審判は下った!おすすめ度
★★★★★
私も「大宇宙の少年」というタイトルで読みました。ママさん生物が異星の人なのになぜ意思疎通できるのか。最後のシーンでのクリフの凛々しさ、地球はどうなるのか。石鹸の包み紙を送る学校のシーンからめくるめく宇宙のシーンまで、あっというまに虜にされてしまいます。子どものときにこの話に出会えたことは、本当に幸せでした。絶版になっているのですか? こんな残念なことはありません。
技術職への進路を決意させた本と奇跡の再会おすすめ度
★★★★★
小学校のとき、図書室で福島正実氏の抄訳"大宇宙の少年"を読んで主人公が宇宙服を整備する件に感動し、技術職へ進むことを決意しました。
それから十数年後、めでたくメーカの設計部門に配属され業務に忙殺されていた或る日、ふと立ち寄った書店で何の気なしに手にとった文庫本をめくっていると、タイトルこそ変わっているものの、それはまさにあのときの本ではありませんか。何か不思議な縁を感じつつ早速購入し、深夜まで読み耽りました。
現在は入手が非常に難しくなっていますが、重版されることがあったら是非購入/御一読をお勧めします。
「こがね虫からちびすけへ。ちびすけ,応答せよ!」
おすすめ度 ★★★★★
昔,講談社の少年少女世界名作全集の一冊に,「大宇宙の少年」というタイトルでこの本の福島正実による抄訳が収録されていた。これが私とSFの最初の幸福な出会いであった。私と同様に「大宇宙の少年」に魅了された吉田秀実氏が,翻訳家の矢野徹にはたらきかけて,この全訳版が完成した。私にとっては最高のSF小説。