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洲崎パラダイス 赤信号

川島雄三
おすすめ度:★★★★★
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川島雄三のもっともお気に入りの作品
おすすめ度 ★★★★★

「男女の腐れ縁」を描いた映画と言えば成瀬巳喜男『浮雲』が有名だが、
川島雄三は成瀬とは違ったタッチで懲りない男と女を描く。

冒頭の隅田川に所在なげに佇む男と女(三橋達也と新珠三千代)を
捉えたシーンに始まり、当時の下町の情景が物語を支えている。
今となっては貴重な、永遠に失われた風景の中に生きる市井の人々、
その生命力と脆さが危うく同居した人生模様は、
時を経ても色褪せない輝きをもつ。
下町と山の手が厳格に分離されていた時代の空気、
川向こうの空気を感じることができる。
何気ない、どこにでもあった情景は、
もう二度と手にすることができない。


舞台となる洲崎遊郭は昭和33年施行の売春防止法によって消滅し、
現在は江東区東陽1丁目となっている。
映画の中の洲崎とは全く別の街だが、所々に当時の面影を残した
建物を見ることができる。

傑作「幕末太陽伝」もそうだが、
この頃川島が遊郭を舞台にしたのには、
もしかしたら大きな時代の変化と、
それに伴う町の消滅というものを
予感していたのではないか。
そう思えてならないほどに、この頃の川島作品は
貴重な映像記録ともなっているのだ。


映画が公開された昭和31年は、経済白書で
「もはや戦後ではない」といわれた年であった。



駄目過ぎる・・・(笑)
おすすめ度 ★★★★☆

文無しで洲崎に辿り着いた男と女。女は飲み屋で働くことになり、男はそこの紹介で蕎麦屋の出前をすることになるが・・・。
軽快かつ明快な演出でダレルことなく楽しませる。川島雄三の最高傑作ではないか。
水辺の街の雰囲気が魅力的で気持ちがいい。
前半の男の駄目っぷりに思わずクラクラ。
飲み屋のオバちゃんが卓球の愛ちゃんに似ていると思うのは私だけでしょうか?



別嬪、新珠三千代
おすすめ度 ★★★★☆

成瀬や小津の映画で見たときは、さほど思わなかったが新珠三千代はかなりの美人ですね。日本人らしくなく、目が大きく、ホリが深く鼻も高い。

川島節は、若尾とのコンビ作とに比べるとそれほど感じられなかった。



失われた世界・迷わず買え
おすすめ度 ★★★★★

新珠三千代がとてもよい。川島は男女の情感が漲る世界を鮮やかに捉えた。さりげない手つき。味わいは深まり尽きない。

水辺の飲み屋。冴え渡る演出,撮影,音楽。80分のモノクロスタンダード。
もはや望むべくもない世界。



パラダイス・ロスト in 洲崎
おすすめ度 ★★★★★

敗戦直後の混乱をようやくくぐりぬけた昭和30年代。高度経済成長へと駆け上がってゆく世間をよそに、洲崎弁天町あたりをうろうろしている一組の男女。その夜、ゆくあてもないままたどりついた飲み屋の二階で体を交わす二人。橋の向こうにはパラダイスと名づけられた町。そして雨が降ってくる…。

荒んだ美しさを放つメロドラマです。混乱した世相のなか恋に落ちたらしい二人。しかし野蛮な力に満ちた時代は失われてしまい、彼等もお互いへの失望を隠しきれない。去ってしまった黄金時代を懐かしんで「パラダイス」の入り口あたりをグダグダし続ける二人。放浪と無所有への憧れ・お互いへの憐れみと欲望・敗滅への密かな期待…。「勝ち組」の側へ回りたくて見苦しくジタバタしている昨今の日本人が失ってしまったイノセンスを、川島雄三監督は見事に映像化しています。

そして音楽が素晴らしい。どうしようもないところへ追いつめられている二人の焦燥・ヤケクソ・官能の昂ぶりを余すところなく表現した音楽が、まだこの当時、背の低い建物ばかりで妙に広い東京の夕焼け空に流れる…。甘美な映画です。


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