私が「高校教師」を観たのはまさに高校生の時だったが、とにかく衝撃を受けた。自分とは程遠い世界の、毎回ショッキングな内容のドラマだったが、自然と引き込まれていった。
はかない恋愛おすすめ度
★★★★★
女子高―どちらを見ても女子だけしかいない潔癖で美しい学園。当然の如く行われる同性愛。人目憚る禁断の愛。
大人びた、ミステリアスで傷感的、見にくい白い煙のようなものを纏う少女。
冬山の眈火のような温かさを持つ彼女の体温に抱かれて夢を見たいと思う。繭に閉ざされた瞳は冷たく穏やかで、本当の心が掴めない。どこから見ても少女。自分のことは自分が一番よくわかってる―少女もまた、わかりきっていない。
彼女は蝶として飛びたてるのだろうか。
教師もまた、自分の恋愛で悩む。愛した人が生物の教師ってところが、少し笑わせる。でもどんな環境でも育ってしまったものに文句を言わないのが現実。あれだけかっこいい教師がいたら、というより成長期のまっただなかにある女子高で選択の余地もないだろうけど。
同情と、迷いと、慰めあい、未成熟な恋愛。砂塔のように脆くて、互いを一番理解する堅い絆。一緒にいなければ不安、二人でいれば何も怖くない。
恐れていた悪夢が現実となる、眉の下から音をたてて毛むくじゃらの羽虫が出てきた。声にならない悲鳴。
平穏な生活のなかに含まれる、穏やかな牙。其処に白い物が居る…。静かで凶暴な、美しい作風が好きだった。
淡々と述べられる呟きに、苦しさも、悲しさも、飽和され、深められて…。癒されることのない苦しみ。
放映当時は普通にあると思っていた。今にしたら、教え子と寝る教師なんて共学の私にしたらなんて恵まれた羨ましい環境の奴だろうという感想を抱いた。真っ白な制服に憧れた。