今更レビューあげなくても皆さんご存じでしょうね。この作品を作るために監督は漫画を作り凄まじい情熱をかけて作成してます。だからこそ1シーン1シーン溜め息が出るくらい完成されてます。映像は昔の作品のため技術的にはおちますがこの作品の完成度は幾万のアニメ作品も勝てません。宮崎監督の代表作品であることは間違いないですね。まぁ音声はちょっと良くないですが家庭で普通に見る分問題ないです。宮崎作品を知りはじめた若い人はまずこれを見なくては始まりません。アニメ好きな人はかならず一度は観てほしいです。独創的な世界観、現代の世界問題を感じるテーマ、迫力のある映像…今だ観ても感動します。また映画館で観たいんですけどね。どこかやってくれないかな?!
「本当の優しさ」おすすめ度
★★★★★
「ほらね…こわくない。ね…。おびえていただけなんだよね」
映画冒頭、脅えて凶暴化するキツネリスをナウシカが「痛みを覚悟」で受け入れるシーン。
このシーンに「ナウシカの優しさ」がある。
「風の谷のナウシカ」は端的に言えばこのナウシカ(宮崎さん)の「優しさ」に貫かれた作品とも言えないだろうか。
相手を受け入れる為に「痛みを覚悟」する。
逆説的に考えると痛みを覚悟するから「相手を受け入れられる」。とも言える。
ナウシカはその原理をなぜか知っている。
その原理をアニメーションのダイナミズムを通して宮崎駿は私に教えてくれた。
映画終盤の大蟲の「暴走化した怒り」を鎮めたのも「死を覚悟した優しさ」である。
今作は宮崎駿の「沈んだ魅力」がスクリーンの端々に感じられる。
「死の臭い」がプンプンするのだ。
「腐海」のイメージは作家の「混沌」のイメージそのものに見える。
「巨大昆虫」や「肉の滴る巨神兵」などのグロテスクな造形は後々の作品に形を変えて様々に登場する。
「温もりを感じるメカ」や「飛翔を使った心理的解放表現」も「作家性」が如実にでている。
そしてなんと言っても「作家の女性への憧れ」が「ナウシカ」に投影されている。
今作が「ジブリ」や「宮崎駿」のイメージの起源になっていることは確かなことである。
現在(2008年)今作を改めて鑑賞するとまず感じる。
「この頃はだいぶ観客に寄り添う形で、創ってあるな」と。
まず「起承転結」がある。
そして「感動させるポイント」がきちんと意図的に設けてある。
そして「説明」や「解説」に近いエピソードが、話に組み込まれている。
という、点が近年の宮崎作品と明らかに違う。(笑)
逆に前期の作品は圧倒的な作品世界をフィルムのなかで完成させているので、作品としてある種「閉じたモノ」になっている。
前期の作品は「没入感」が凄まじい。私などは入り込み過ぎた。
「となりのトトロ」を観て、一歩現実社会にでると「なんじゃこの世界は」と軽い絶望感も感じたものだ。
そのぐらい「居心地の良い仮想世界」を構築してあるのだ。
それに比べれば近年の作品には、敢えて「没入させないよ。観終ったらさっさと現実世界に戻りなさい」と、言わんばかりにサッと終わる。
こういう違いなども観ていくと、「作家と作品の関係性」の変化も見ることができて面白い。
いずれにせよ、記念碑的作品。
また見てしまった…おすすめ度
★★★★★
初放映から何度目か…
DVDも持っている(とはいえ最近は箱にしまって出てこないが)のに…
いろいろな人が書評やコメントを書いているように、
・環境問題への提言
・色使い、音楽、登場する人物、風景、機械類にどことなく残る郷愁
・ナウシカの少女性と母性
本作を傑作とせしめる要素は数限りないが、それらの理由を抜きにして見てしまう。
風の谷は誰にも干渉せず、その自然の恵みを愛して存在している。
その中に自分も溶け込んでただ住めればいいと空想してしまう。
永遠の名作おすすめ度
★★★★★
それにしても、もう四半世紀も前の作品だ。道理で自分も歳を取るはずだ(笑)。
ジブリの作品はそのどれもが、レビューの件数が異例に多い。国民的作品なのだろう。この作品も、何度も何度もテレビ放映等されるが、いまだに新鮮さを失わない。ある意味で驚くべき作品だ。
環境保護が叫ばれる昨今、オウムの暴走のごとき自然のしっぺ返しを人間が受けぬよう、真摯に考えるべきだろう。
荘厳壮麗清涼 愛と勇気は人類を救う
おすすめ度 ★★★★★
究極の人類愛を最高の美的センスで描いた世界最高峰の名作。
ナウシカの愛と勇気は、感動の極致。
実写で想像も尽かない想像力と美的センス。
久石譲の音楽の壮麗雄大な美しさは世界に比類なき超越した調べ。
自然に対する共生と調和は、世界に誇る日本人の美点。
日本人の誇りと高潔さを世界に示した名作。
概要
腐海(ふかい)と呼ばれる毒の森とそこに棲む蟲(むし)たちに支配された世界。辺境の王国・風の谷には、自然を愛で、蟲とすら心を通わせる少女ナウシカがいた。腐海を焼き蟲を滅ぼそうとする大国の争いに巻き込まれながらもナウシカは、人を愛するのと同様に蟲たちをも愛そうとする…。
アニメ誌に連載していた自らの漫画を原作に、宮崎駿が監督を務めた劇場用長編アニメ。母の優しさと獣の荒々しさを兼ね備えたヒロイン、おぞましくもどこかしら哀しさを感じさせる蟲という存在、あるときは風に乗りあるときは雲を割いて空を駆ける飛行機械など、それまでの宮崎作品の集大成にしてその後の原点と呼べるような1本だ。音楽を久石譲が手がけて「宮崎×久石」の黄金コンビが生まれるきっかけともなったが、そのテーマ曲も美しいことこの上ない。
巨大な王蟲(オーム)の群れが暴走するクライマックス、そしてナウシカの純粋な魂が胸を締めつけるラストシーンは圧巻。日本のアニメ史上にさん然たる金字塔をうちたてた作品である。(安川正吾)