「プライベート・ライアン」や「バンド・オブ・ブラザース」は連合軍の1個人、1小隊としての視点で描かれている一方、こちらはいわば世界史の教科書的な描かれ方。監督も各陣営について演出をしているのでドイツ軍が英語を喋る事もなく、現実的です。CGなどない時代でよくぞここまで作ってくれたな、という驚きの感想です。またモノクロ映画なので却って特撮を使っても分かりにくかったかもしれません。長い1カットでの市街戦シーンは必見モノです。「プライベート・ライアン」と重なるオマハビーチのシーンは後半にあります。ただR・ミッチェムが格好良く映っているだけで、総力戦の中の1個人の存在のはかなさが「プライベート・ライアン」と見比べると伝わってきます。
恰好悪いエピソードが戦争の真実を伝えているおすすめ度
★★★★☆
「バッタ」の合図と勘違いして敵の目の前に出てしまう、落下傘で降下したら教会の屋根にひっかかってしまう、ようやく砲台を占拠したら既に大砲は撤去されていた…というような笑うに笑えないエピソードがいくつか挿入されています。
全体としては、有名なマーチに象徴されるように、連合軍の雄姿が描かれていますが、なぜかちょっと「恰好悪い」出来事が散りばめられていて、見ていて落ち着かない気分になります。でも、次第にこれが戦争なんだなという気になってきます。ロバート・ミッチャムのような恰好いいことばかりではないのですね。
オマハビーチを走り、倒れる米兵の姿には、北支への出征経験のある知人の言葉を思い出しました。
「軍隊は『運』隊だ」という言葉です。
ドイツ軍の銃弾に同じようにさらされながら生と死を分けたものは、まさに「運」でしかありません。市街地の、よりによって独兵の目の前に降下してしまった落下傘兵も、運が悪かったとしかいいようのない悲しさです。もし私が戦場に駆り出されたら、運命の女神は微笑むのだろうかと思わずにいられません。
300万人の将兵、6000隻の艦艇を投入した連合軍側は、当然歩留まりを計算していたのでしょう。上陸時に何%の損失、パリまで何%という具合に。もちろん歩留まりを良くする為に様々な努力はなされています。レジスタンスによる電話線の切断、偽装落下傘兵など。しかし個々の兵士たちの命がけの戦いと、作戦を指揮する側の冷徹な計算には大きなギャップがあります。
この上陸作戦がなければ、フランスを解放することはできなかったのでしょう。「自由と民主主義」を守るために、誰かが不運を引き受けなければならなかったのは理解できます。
でもやはり、兵隊って辛いなと感じます。
今では真似の出来ない映画おすすめ度
★★★★★
高校生の時にはじめて見た。白黒映画、ドキュメント・タッチ、俯瞰撮影、連続した撮影などは今でも斬新だ。それどころか、今では真似の出来ない、金と撮影技術と統制力を必要とする職人技を見せつける。ジョン・ウェインが食堂で出撃命令を待っている場面などは秀逸で、静けさの後にけたたましく鳴る電話、そして放り投げられたコーヒーカップが床を転がる音など、細部に亘って静と動の見事なコントラストが印象的だった。
プライベートライアンと比べて
おすすめ度 ★★★★★
どちらもすばらしい映画だと思います。
戦争の体験を直感するためにもおすすめです。
しかし、「戦争の経済学」という本を読んで人間の行動結果はすでにすべて保障として金銭化されてしまっているのではないかと感じました。
また、国家間の戦争はすでに終わっているような説明もありました。
今後、個人的に経済の将来はイスラムだろうと思う記述もありました。
映画ではばたばた倒れて終わりかもしれませんが現実の世界ではものすごいことが裏で行われていることの切れ端を見ることのできる本でした。
勝ったおめでとうではない映画のテーマではないでしょうか。