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サイゴン・タンゴ・カフェ

中山 可穂
おすすめ度:★★★★★
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良い本だが、男性として、その余りの"女くささ"に、、、。
おすすめ度 ★★★☆☆

「サイゴン、タンゴ、カフェ」。いかすタイトルである。それだけで、情熱的で官能的な風を感じさせる。そして、収められた5編の作品も、ページをめくる手を止めると、まるで、タンゴのリズムが、薫陶と爛熟を以って静謐と流れてくるような感覚なのである。
5年半もの時間を不倫関係で過ごし、かつ最悪の形で裏切られながらも、男の急死に葬儀に臨席する女、親子二代に渡って忌まわしい出来事を引きずりながら生きる母娘、特に魅力的でもない旦那に浮気された女と悲しい過去を持つ浮気相手の女、そして、ある理由で日本を離れ、サイゴンで隠遁生活を送る伝説の作家。
ここに登場するのは、どれも言いようのない精神的なダメージを沈潜させながら、生きてきた女性たち。彼女たちが、"タンゴ"を媒体にして、そのリズム、音色、息遣いに恍惚、覚醒させられ、それが心の源泉となって、呪縛から解き放たれる。
時に硬質、時に甘美、時に媚態、時に抒情的。その文章力に唸らされるが、男としては、その余りに濃厚な"女くささ"にあてられてしまったのも事実、よって男性読者は心して読むべし。



年輪の滲み出た美しい皺
おすすめ度 ★★★★★

美しい表紙を見て、溜息が出た。謎めいて、艶かしくて、慎み深い。
上品な美しい本に、美しくて品のある日本語で語られる、誇り高く、潔く、情の厚い登場人物。
力強く愛し抜いた女たちの、美しく年輪を重ねた姿に胸を打たれる物語集だった。

大好きな土地が出てきたことが、より一層、この本への思い入れを強くした。作中の小説家がブエノスアイレスを想像の中で旅するならば、私は本を読みながらハノイを旅する。
表題作に出てくる小説家によると、命を切り刻んで自分を使い果たしながら紡がれた言葉だから、切れ味が鋭いのだろう。
私は言葉を紡いで小説にすることはできないから、紡がれた言葉に切り刻まれて、自分を使い果たすような終わった恋という膿を流しているのかもしれぬ。
胸苦しいばかりではなく、時には軽妙で、全体が温かな愛情に満ち溢れている。女である喜びを取り戻す、大人の女性に勧めたい一冊である。



無題
おすすめ度 ★★★★★

表題作、サイゴンタンゴカフェを読み終わった刹那、精神がふと日常に戻れなくなるような錯覚を覚えた。
それはその小説の世界にずっと浸っていたいという類いのものでは決してなく、絡めとられぼんやりとした疲労を伴った非現実的な感覚だ。
氏の作品を読むと暫くの間精神の疲労を感じてしまう。
それは毎度の事だがそれとは裏腹に新作を待ち焦がれている自分がいる。
例え何年でも、待つことが幸せになる偏愛する作家が居ることはなんと幸せなことか。



悲しく、美しく、壮絶に
おすすめ度 ★★★★★

氏の著作としては五作目の短編集。
『弱法師』を読んだ時と同等の感動、どうしようもない心のわななきがあった。

五編のうち、特に胸を突かれたのが『ドブレAの悲しみ』と表題作『サイゴン・タンゴ・カフェ』の二編だった。
『ドブレA〜』は、自身を「前世は猫だった」と語る中山氏ならではの一編。決して成就することのないひとつの恋のかたちをドラマティックな展開で描いている。危険だとわかっていながらも、そこへ堕ちて行かざるを得ない狂おしい人種というのはいるもので、こういった話を書く中山氏もまた、そのような業を深く持つ者のひとりなのだろうとつくづく思った。
『サイゴン〜』は、読んでいて『弱法師』収録の『卒塔婆小町』を思い出させられる一編だった。登場人物が作家と編集者という設定のためではない。烈火のような恋を経て、年老いた人間が、その恋を自身の中で熟成させ、あとにはただ静謐が残る…そんな、悲しくも美しい有様が、ふたつの作品を重ねさせるのだ。こんなふうに烈しく生きた人間と、そうでない人間とでは、きっと刻み込まれる皺の美しさが違う。津田穂波(『サイゴン〜』に登場する老婆)の顔の皺を、私は見てみたい。その壮絶で美しい老いのさまを見てみたい。
そう思わずにはいられない一編だった。

比較的寡作な作家である。しかしこの人は、次作が刊行されるまでの長いスパンで、なんと熱のこもった狂おしい小説を書くことか。この作家の作品を渇望しながらも、この先何年待たされてもいいと思う私がいるのは、そのためなのである。



待ちに待った中山可穂さんの新作
おすすめ度 ★★★★★

短編集です。
特にタイトルとなっている最後の「サイゴン・タンゴ・カフェ」は
最も中山さんらしい作品で何度も読み返したくなる一冊です。


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