「板垣信方の討ち死にとともに俳優・千葉真一を葬り去りたい」 おすすめ度 ★★★★☆
「過去の栄光を捨てることで、新しい未来に羽ばたきたい」
上記の理由から長年慣れ親しんできた芸名“千葉真一”を封印し、今後は俳優業をJJサニー千葉として、また映画監督業とプロデューサー業は和千永倫道として活動していく事を決意した千葉真一!
事の発端は、昨年NHK大河ドラマ『風林火山』で幼少から晴信(信玄)を支える武田家重臣の板垣信方役を演じ、劇中壮絶な討ち死にを遂げた。千葉氏にとっては身も心も役柄になりきり、演じきれた満足感とは別に合戦シーンで酸素ボンベを背負っての立ち回りにスタントマンなしでアクションを演じ続けてきたことを誇りにしていた千葉氏にとっても年齢による体力の限界を感じずにはいられなかったようだ。
私自身、大河ドラマを未見であるが、千葉氏にとって俳優“千葉真一”の最期を飾るに相応しいと思われた役であった事からこの度、俳優“千葉真一”引退(封印)し、今後タイトルにある“和千永倫道”(主に演出家)を名乗り、後継者を育てる決意に到った次第である。
本書は俳優生活50年を振り返るエッセイ的自叙伝であり、デビュー前の挿話や元妻で女優の野際陽子氏との出会いや結婚生活、故・深作欣二氏やタランティーノ氏など華やかな交遊録が描かれている。
ただ読後感として思ったより内容が薄く、萩原健一氏の『ショーケン』〈講談社刊〉のようなボリューム感を期待していただけに些か残念である。
もっと、『キイハンター』や『直撃!地獄拳』『激突!殺人拳』に代表する功夫映画の撮影や共演者との挿話、『柳生一族の陰謀』『魔界転生』などで当たり役となった・柳生十兵衛、鬼才・タランティーノ監督お気に入りの『服部半蔵 影の軍団』、また日本初のアクション監督を務めた『戦国自衛隊』の撮影秘話(期待していたが3頁にも満たない内容であったので)など先の『ショーケン』を参考にもっと濃い内容に改訂してもらいたい。
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