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檸檬 (集英社文庫)

梶井 基次郎
おすすめ度:★★★★★
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幻想的な作品集
おすすめ度 ★★★★☆

短編とも随筆とも思える数多くの作品が収められた一冊です。私が思うこの作品の読み所は、心に鬱々とした重い気持ちを抱えた主人公が歩く街中の風景の描写です。表題作の「檸檬」では寺町通の店の一つ一つから路地裏にかかっている洗濯物まで細かく説明されており、また売られている様々なものに思いを馳せている様子が伝わってきます。こういうのは心象風景というのでしょうか?文章を読んでいると、「何か得体の知れない不吉な塊」に囚われた青年の見る寺町通が、なにやら幻想的なイメージで浮かび上がってくるようです。



詩情あふれる作品集
おすすめ度 ★★★★★

 梶井基次郎の作品は人間のくたびれた様な心情の捉え方がうまく感動してしまいます。
 作品的な感想は詩を読んでいる様な感じです。ちょうどさらさらと水が流れる様な……
 少し違和感があるようですが、やっぱり人間の心の奥底からくる様な発想、思考、儚さを感じさせる展開は現在でも立派に通用する名作だと思います。
 ぐっと感動させるとか、大きく人の感情を揺り動かすということはありませんが、読んだあとさわやかな気分になります。
 作者の文豪へあこがれながら肺病によって若く夭折してしまった事実を背景に読んでいくと感動も一入です。
 近代文学の中でも割合最近の方なので、純文学をあまり読んだことが無いと言う人にも親しみやすいかと、思います。



果てしなき日々
おすすめ度 ★★★★☆

梶井の作品は一言で言うと、暗い。
もう一貫して暗い。

「檸檬」は教科書にも載っている一番有名な梶井の作品であるが、
これはまだ明るいし、あまり面白いと感じられなかった。

だがこの本に入っているほかの話は掛け値なしに面白く、暗い。
鬱々と生きる男の心象を、凹んでいる時に読むと
袋小路のまた底で同志を見つけたような気分になる。

実際どうだかは知らないが梶井は駄目男であるように思う。彼の話を読んでいるとそんなイメージが湧いてくる。
主人公の多くは現状を打破しようとせず、鬱々と現状を眺めてすごす。
やる気、は無い。行動、も無い。
「もっともっと陰鬱な心の底で彼はまた呟く。」

「生きんとする意思」をうらやむ彼。
中でも「冬の日」は梶井小説の真髄であると思う。

暗い光が刺す美しい闇。
「冬の日」の最後の文
「にわかに重い疲れが彼に寄りかかる。知らない町の知らない片隅で、嵩の心はもう再び明るくはならなかった。」
に彼の小説の雰囲気が凝縮されている。

これに惹かれちゃう人にはオススメ。


梶井基次郎がみつけたかったもの
おすすめ度 ★★★★☆

 本書は梶井基次郎の短編集。表題『檸檬』は、梶井の処女作である。

 『檸檬』の主人公は、肺病を患い精神的にも不健康になり、自堕落な生活を送っていた、そんな彼が、或る日、京都の寺町通りにある八百屋で檸檬を買う。異国の果物の華やかな色、不思議な形、清しい香り…それは彼の心に小さな波紋を投げかける。そして、その波紋の消化の仕方に梶井らしさが光る。

「病的」。そんな言葉がぴったりなのが梶井の作品である。彼は、肉体的にも精神的にも病んだ自分を癒そうなどとは思いもしない。更に自分を追い詰めて、真理に 薄しようとするのである。それゆえ、穏やかな情景を描写している作品の中にも、冷たい緊張感が漂う。

 は健康も愛も救いも求めていない。彼が自らに鞭打ってまで見つけようとした真実とは、一体なんだったのか、そんなことを考えながら読み返すと、また違った面白さがある。


檸檬 レモン れもん
おすすめ度 ★★★☆☆

伝説の短編となった「檸檬」。あまりにも有名なラストシーン。時々、マンガなどでもこのシーンのパロディを見かけるほど。憂鬱な主人公に与えた八百屋の檸檬の衝撃。そしてその後のラストシーン。約20頁程の中に詰め込まれた物語。私はラストシーンを読み、にんまりしてしまいましたが、皆さんの反応はいかに。読んだら教えて下さい。


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