概要
93年の『月はどっちに出ている』で一大旋風をまき起こした崔洋一&鄭義信コンビの2作目で、なんとも痛快な詐欺師ファミリーの物語である。 離婚歴が3回の母親と、父親の違う4人の息子たちからなる飴屋一家。地元の選挙トトカルチョで喫した大損害にもめげず、その穴埋めのため東京へとのり込む。得意の口八丁で人のいい老夫婦宅を根城にした総勢10名の一行は、さっそく獲物を求め、ダマシの仕込みにかかるのだが…。 盛りだくさんな登場人物に加え、その「仕込み」の過程がいくつも同時進行するので、話がごちゃごちゃしすぎる感はある。そのワイザツさが魅力でもあるのだが。日本人に対するキツイ皮肉をトボけた笑いで見せる、このコンビならではの至芸は本作でも健在だ。「家族とはなにか」を鋭く突きつけてくる快作である。(武内 誠)
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