クーベリックのマーラーはどれも秀逸おすすめ度
★★★★★
当時のマーラー8番というと、ショルティ盤とこれぐらいだったのですが、
演奏は終始緊張感を持ったものです。
バーンスタイン盤とはアプローチが異なりますが、クーベリックの指揮は
マーラーの交響曲を冷静に分析したもので、
30年ぐらいてっても色あせないものばかりです。
スタンダードとしてのマーラー
おすすめ度 ★★★★★
クーベリックがマーラーの交響曲全集を録音したのは1960年代最後半から1970年代にかけて。CDが発明されるはるか前である。だからこれは偶然であるが、クーベリックのとったテンポが他の指揮者よりもわずかに速かったため、一般に2枚組になる曲(つまり2,6,7,8,9番)が1枚に収録されている。わたしのような貧乏人にはまことにありがたいが、このことは裕福な方にとっても無視できないのではないだろうか。つまり「途中で盤を変える必要がない」のだ。感興を中断されることなく全曲をたのしめる。
繰り返すが、クーベリックはクーベリックのテンポで充分にたっぷりと歌っているから、どの曲をきいてもセカセカした感じは、まるでない。この「千人の交響曲」においてもそれがいえる。マーラーの交響曲にはしばしば強烈な表現が要求されるが、そういう音楽をやっていてもクーベリックは自分が惑溺してしまうようなことがない。曲をきちんと俯瞰したところで構成をしている。それゆえ、かえって曲の大きさがそこなわれずに明確に出てくる。そしてこのディスクにおいては独唱、合唱の声楽陣がまことに傑出している(フィッシャー=ディースカウの独唱がきけるのもうれしい)。フィナーレの壮大さなど、ききものである。
前述したように2,6,7,8,9番が1枚でもとめられるし、他の交響曲もまことに完成度がたかい。クリムトの絵をあしらったジャケット・デザインも秀逸であるから、迷うことなく1番から10番までをお薦めできる。