ファミリーミュージカルの名作 おすすめ度 ★★★★★
トーキー映画の始まりは、いわばミュージカル映画の始まりであったわけで、
その時代の光と影をミュージカル・ロマンス・コメディーにしたのが
『雨に唄えば』です。
ナシオ・ハーフ・ブラウン(作曲)、プロデューサーでもある
アーサー・フリード(作詞)によるナンバー15曲が使われていますが、
その多くは『Broadway Melody』『The Hollywood Revue of 1929』を含め
30年代に多くのMGMミュージカルで使用されている曲です。
特にジュディ・ガーランドが『Babes in Arms(1939)』で唄う
“グッド・モーニング”はいつ聴いてもいい歌ですね。
また“You Are My Lucky Star”は、その中でも一番知られた名曲でしょう。
デビー・レイノルズはダンスは全くの素人で短期間にあそこまで上達したとは驚いた。
決して凄い美人ではないが、とてもチャーミングでした。
共演のドナルド・オコーナーですが、彼のジーン・ケリーに負けないほどの身のこなしと、
天性のようなユーモアがなかったら、盛り上がりに欠けていたことは確かです。
彼はこの作品で見事に1953年ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディー部門で、
見事にベスト男優賞に輝いている。
ジーン・ヘイゲンはトーキー化に失敗した女優を演じていましたが、
彼女の演技は素晴らしく、アカデミー助演女優賞にノミネートされる
だけのことはありました。
その他には、後の『ウエストサイド物語』でお馴染みのリタ・モレノも
サイレント時代の名女優役で出ていましたね。
そして50年代のMGMミュージカル女優を代表するシド・チャリシーが
セリフはないが見事な脚線美を披露し、ケリーとタンゴ風のセクシーな
ダンスを魅せてくれました。後にMGMミュージカルの傑作
『バンド・ワゴン』ではあのフレッド・アステアを圧倒するダンスで共演しています。
『雨に唄えば』は何と言ってもケリーの代表作ですので観ないと損です。
それと映像特典としての二枚目ですが、MGMミュージカル史が満載ですので
マニアには必見でしょう。
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