作品は秀逸。しかし・・・おすすめ度
★★★★★
「リミットちゃん」は、三十数年前に確かに見ていた番組だったが、
その後再放送を一度見たきりで、殆ど記憶が薄れていた。
いわゆる「魔女っ子シリーズ」の中では「マイナーな作品」とされ、
私と同年代の知人、友人でも覚えている人は少ない。
当然、今までビデオソフト化されたこともなかった(はず)。
昨年夏、永島慎二氏が逝去された際に「この人はリミットちゃんの
原作者だったはず」と思い出し、それからはネットで検索しまくって
ファンサイトを拝見するなど、久しぶりに夢中になってしまった。
そして今回、ついにDVD化が実現した。一時は「もう二度と見ることが
できないのでは」と諦めていただけに、喜びもひとしおである。
故・小松原一男氏によるキャラデザイン、事故に遭ってサイボーグ化
された主人公等々、魔女っ子シリーズの中では極めて異色な作品だ。
これが作られたのが、高度成長期の終焉となった1973年という点も、
実に興味深い。科学の粋を集めて甦り、超人的な力を得た少女が苦悩し
人間らしい心を求めて葛藤する様は、鉄腕アトムをも彷彿させる。
事情によりビデオ映像からの再録となった初期オープニングは若干
見苦しい点もあるが、本編やパイロットフィルム、第一話予告映像は
三十数年という期間を経てなお鮮明であった。
最近殆ど活躍されていない栗葉子さんや、メグちゃんでブレイクする
前の吉田理保子さんの若き日の声を堪能できるのも嬉しい。
残念な点は、パッケージ及びブックレットの表記である。リミットの
担任は「乙姫先生(通称)」であるが、パッケージとブックレットには
「乙女先生」と書いてあった。そしてリミットが憧れる栗本ジュンの
ブックレット画像は、ジュンとは別のキャラクターが映っていた。
キャラクターの最終チェックを入念に行っていただきたかった。
だが、そうした点を差し引いてもなお、本作品の発売は快挙に値する。
ちょっとセンチになっちゃう。
おすすめ度 ★★★★☆
1970年代の変身・怪獣ブームのあおりを受けて、
東映動画の魔女っ子路線に「サイボーグ」という、
設定を持ち込んだ意欲作が、ついに初の全話パッケージ化!。
原版が35ミリフィルムだったというのも驚きですが、
初公開のパイロットフィルムには驚愕。
本編中で描かれなかった、リミットちゃんが
サイボーグになった事故のてんまつ、
無駄な機能の多い(笑)、七つ道具の設定がここに!。
当然ながら新番組予告編、初期版オープニングも収録。
(初期版は素材が現存せず、再放送ビデオからの収録。
そのため時刻のテロップ入り。一番最近の関西再放送では
あったんだけどな・・・)。
これぞ西山リミット決定版!ともいえる商品となりました。
惜しむらくは、他の魔女っ子たちのBOXアートが、
描きおろしだったりするのに、こちらの商品は・・・。
二度とないソフト化かもしれないので、
BOX、解説書とも、もうひとしずくの愛が欲しかった・・・。
なにはともあれ、発売を心待ちにしていたファンには
ぜひ、おすすめの逸品。これで、東映まんがまつり版
ブローアップ劇場用まで入っていれば、
この世に現存するリミットムービーは完璧?だったのにね。