人間界の悲喜劇が凝縮され詰められている傑作。必見!おすすめ度
★★★★★
監督は野村芳太郎。原作は大岡昇平、脚本は新藤兼人。役者もすべて超一流。これほど豪華な俳優達が一堂に会するとは。
ある時代のよくある話が事件となり、裁判となる。
裁判官は佐分利、検事は芦田、弁護士は丹波。青年は永島、姉は松岡、妹は大竹。姉のひもは渡瀬恒彦。母は音羽。証人には西村、北林、森繁。
すごいでしょう。
話は、あまりにも哀しすぎる。純粋すぎる。
みんな、法廷で真実を語らない。それぞれが秘密を持っている。
法廷とは何か。
かけひきの場。最後まで。
最後のシーンは実に見事。渡瀬と大竹のかけあい。
女は強い。
さわやかな大竹しのぶの姿。
マイリマシタ。
名優たちの演技合戦と見事な脚本
おすすめ度 ★★★★★
野村芳太郎監督が大岡昇平の原作を映画化した彼の代表作の一つです。当時雑誌「シナリオ」に掲載された新藤兼人の脚本は見事でしたが長大で、映画化にあたってはかなり短くされているはずですが、よくここまでコンパクトにまとめあげたと思う。
特筆すべきは出演者たちのハイレベルの演技で、裁判に関わる人間と証言者を丹波哲郎、芦田伸介、佐分利信、森繁久弥、北林谷栄らのベテランが演じ、事件関係者を松坂慶子、大竹しのぶ、永島敏行、渡瀬恒彦らの当時の若手が熱演しています。この作品の後、松坂慶子は松竹の看板女優として人気、演技力ともピークを迎え、演技の天才と言われていた大竹しのぶは助演女優賞を総なめし評価を決定的にします。永島敏行は容貌からこの後しばらくは安易な戦争大作への出演が続きますが、現代劇に戻った「遠雷」で主演男優賞を得るまで成長し、やくざ映画の準主役だった渡瀬恒彦はこの作品をきっかけに演技派へと変身します。彼らの現在の活躍の原点ともいえる名作です。
法廷シーンもあきさせないし、最後の終わり方(大竹しのぶの表情!)も秀逸