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リリイ・シュシュのすべて 通常版

岩井俊二
おすすめ度:★★★★★
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岩井リサイタル
おすすめ度 ★★★★★

美しいほどに残酷。

そんな陳腐な言葉でくくれるほど、この映画は
“たやすく”ないが、故・篠田昇カメラマンによる
田園風景はやはり美しく、そして残酷だ。

題材やストーリーには賛否両論あるが、とにかく
この映画の持つ圧倒的な説得力は、篠田映像と、
主要人物たちそれぞれの人生に隣り合わせる、
小林武史の作り上げた劇中の架空アーティスト、
リリィ・シュシュの存在。

憧れの久野からリリィの存在を知る星野。
星野の家に泊まるほど仲良くなり、彼からリリィの
存在を知る蓮見。
ひょんなきっかけで蓮見と行動をともにし、彼の
持っていたリリィのCDを聴く津田。

彼らは魂を消耗し、来るべき未来を見失い、そして彷徨う。

そんな少年少女たちの機敏な心を、時に救い、
時に突き放すリリィの音楽。
「音楽に救われ、音楽に絶望する彼ら」を描写できて
いる奇跡。

久野の弾く「アラベスク」。
混声合唱で奏でるアカペラ版「翼をください」。

映像と音楽、ではなく、映像の中の音楽。
これを構築できる映画監督は数少ない。世界規模で。



■14歳の不安定な世界観を、一瞬でも定位した傑作。
おすすめ度 ★★★★★

■14歳のリアルは、不安定が常態なのだけれど、
いくつかのエピソードを重ねながら、見る人に、こうした世界観を、
うまく転移させることに成功した傑作。
人間の強さと弱さ、美しさと醜さ、喜びと悲しみ、
愛と憎しみ、被虐と加虐・・・・
支配する者と支配される者、虐げられる者と虐げる者、
愛する者と愛される者、憎む者と憎まれる者・・・・
一見、二律背反するようなこれらの事象が、
実はコインの表裏であること、いとも簡単に意味も立場も反転することを
巧みなストーリーで展開している。
映像や音楽の美しさを、悲劇性に添加させ、一縷の希望に昇華させていく
岩井さんの感性と力量が、見事に作品作り、世界観の成立に発揮された、
監督作品の中でもベストな作品だと思います。



今高1だけど
おすすめ度 ★★★★☆

この映画は自分と重ねたり、“リアル”を探して見たりしてはいけないと思います。ただ、雰囲気を好きになれるかどうか。

思春期と呼ばれる年齢は、学校という閉鎖的な空間にいる事を義務付けられ、決して親から逃げられない。
だから援助交際、カツアゲ、レイプ、いじめなどをして親も学校も知らない自分達だけの世界を作りたがるのだ。

実際、それを止める奴などいない。それを止められない、それに便乗してしまうのが思春期だ。
いじめる側も、いじめられる側も綺麗すぎる心故に泥沼に突っ込んでいって、出られなくなる。出る理由もないから。
そしてなんとなく時が流れふわふわ生きている。
私もそうだけど。

けど、あくまでもこの映画はかなり大袈裟に描かれていて、世界で起こっている事を1つの学校に無理矢理閉じ込めて作った映画だ。“リアル”といえばそうだけど本当は違う。
不幸に酔いたくて真似する奴は見ない方がいいと思う。岩井監督が伝えたいのはそんな物じゃない。

後、自分がカメラを覗いてるみたいなカメラワークは好きなんだけど、画面があまりにもずっと揺れてて気持ち悪くなりました。
文字が途中で入るのはいいけど、文字と文字の間の映像は、表現かもしれないけどさすがにくどい。
まあそこは好みですね。


「内容が深いか」とか「人間が描けているか」とか「伝えたい物はなんだろう」とか、そういう見方をする人には分からない映画だと思います。

私は好きです。以上。


概要
ある地方都市、中学2年生の雄一(市原隼人)は、かつての親友だった星野(忍成修吾)やその仲間たちからイジメを受けるようになる。そんな彼の唯一の救いはカリスマ的女性シンガー、リリイ・シュシュの歌だけであり、そのファンサイトを運営する彼は、いつしかネット上でひとりの人物と心を通わしていくが…。
岩井俊二監督が、インターネットのインタラクティヴ・ノベルとしてスタートさせた企画を発展させて成立させた異色の青春映画。美しい田園風景の中、イジメや援助交際などなど現代の少年少女たちにまつわるさまざまなダークな問題を、これまでにないほど身近なものとして織り込みつつ、彼らのリアルな心の声を繊細に描き上げていく。そして、それでも「どんな子どもでも、光る時間を過ごすのだ」といった岩井監督のメッセージが痛切に伝わり、胸をしめつける必見の秀作である。(的田也寸志)

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