誰にでも薦められるものではありませんが。おすすめ度
★★★★★
久しぶりに見ました。ですが今見ても全然古さを感じさせないところがすごいですね。それどころか見るたびに新しい発見があります。ごく単純なストーリーの底に普遍的なものが流れているからなのでしょう。この映画に代表されるような常軌を逸するほどのやさしさを持った男はフランス映画によく出てきますが、悲しいことに女にとってはそのやさしさが疎ましくなるときがあるのですよね。しかしこの男はほかの誰もが出来なかったことをやってのけました。それが「不老不死で死ぬ」ことだったのです。それはまさにこの映画が長年見つづけられているということで証明しています。
概要
ジャン・リュック・ゴダール監督の長編デビュー作にして映画史上に輝く革命的傑作。警官殺しの小悪党(ジャン・ポール・ベルモンド)が、パリにやってきた米国娘(ジーン・セバーグ)に惚れるが裏切られ、路上で警察に射殺される。要約すればこれだけの話を、イタリアン・ネオレアリズモにならって撮影所ではなく、部屋や街路で昼夜かまわずルポルタージュのごとく、手持ちカメラで2人の軌跡を活写。その即興的演出、ジャンプ・カット中心の編集は追随者を次々と生んだ。 実話系週刊紙から原案を提供したのはフランソワ・トリュフォー、監修に名を連ねたのはクロード・シャブロル。批評家仲間で、先に監督進出していた彼らの友情のもと、ゴダールはB級犯罪映画へのオマージュをこめて製作。ヌーヴェルヴァーグの永遠のシンボルといえる1本。(轟夕起夫)