これでいいのだ!おすすめ度
★★★★★
赤塚氏の作品の題名は「これでいいのだ」が多い。それについては、それでいいのか?と思うが、本書には大満足だった。対談は主に1999年に行われている。北野武、タモリ、ダニエル・カール、立川談志、柳美里、松本人志、荒木経惟。荒木の撮るバカボンパパ、チャップリンに扮した赤塚氏の写真もあり、大変お買い得な一冊だ。
赤塚氏とタモリの対談は、お互いにリラックスした雰囲気だ。「ジャズからロッパ」の部分はちょっとしたコメディアン論を赤塚氏が話すのが面白い。自由奔放に振舞うお昼の顔タモリが、赤塚氏のわがままに振り回される部分もあり、一番好きな対談だった。
自分なりの考えを懸命に表現しようとする柳の堅さが、対談中にほぐれていく様子が伺える。ダニエル・カールに対しては愚痴を言い、談志との充実した話の面白さ!その最中に赤塚氏はしばしうたた寝する場面あり。北野武とは映画からテレビの話へ行き、たけしよりも毒を吐く赤塚氏にたけしが大笑いするところが好きだ。荒木とは対談しながらの写真撮影。赤塚氏のマンガ入門を見て漫画家を目指したことのある松本人志との顔あわせは貴重だ。唯一、古くから赤塚氏との交流を持たないのが松本。(もちろんダニエルもいるがそれは横においておく)松本の意外な一面が出てきて対談は終わる。
赤塚氏の子どものような無邪気さに踊らされてしまうゲストの一面が見える対談集である。赤塚氏のファン以外の方にも是非読んで欲しいと思う。
うーむ。そうか。それでいいのか。おすすめ度
★★★★☆
うーむ。そうか。それでいいのかぁ。と、膝を打つ一冊。
タモリ・柳美里・立川談志・北野武・ダニエルカール・荒木経惟・松本人志との対談が収録されている。全篇これ飲みながらのお話。
タモリは、もう「いいとも」のおじさん。という意外に強烈なインパクトはなくなってしまった。興味の対象外だった。しかし、これを読むとやっぱり相当に変な人だし大きなエネルギーを眠らせている休火山なのだと思えてくる。二人の出会いからの交遊録には、本気の本気で馬鹿をやる凄みすらある。二人を結びつけたのはジャズプレーヤー山下洋輔であり、タモリもまた本質的に即興芸なのだ、とも思った。酒を飲みながら筒井康隆・唐十郎・山下らに「アメリカの宇宙飛行士と中国の宇宙飛行士の絡み合いをやれー」だのなんだののリクエストに答えているうちに芸が広がった。東京に呼ばれ、赤塚のマンションに暮らす。当の家主は事務所でロッカーを倒して寝ていたという。スポーツカーを乗り回し、服を勝手に着て、小遣いをもらっていながら、全く遠慮なく堂々としていたそうな。
どの対談も見所があるのだが、ダニエルカールに「アメ公」呼ばわりし無礼なのに愛がある赤塚の人柄。陰毛を数十年撮って来たアラーキーとのしみじみも良かった。赤塚が眠っている、立川談志との「笑い」道の話にも唸った。ココだけでも読む価値があり。楽しませてもらいました。
そして見えてきたのは、本気で馬鹿をやり続けてるこの人は、とことんカッコイイ。ということ。亡くなったら、この本も平積みにされドドンと売れることだろう。
花のようにおすすめ度
★★★★★
立川談志がおそろしい。この本の主役は赤塚不二夫ではあるのだが主役を差し置いて立川談志が格の違いを見せ付ける。生きるとは。芸とは。「なんだろねぇ、わかりゃしないね」談志がつむぐ言葉には人には創造できない野に咲く花のような感慨がある。言葉のその先へ。
花のように
おすすめ度 ★★★★★
立川談志がおそろしい。この本の主役は赤塚不二夫ではあるのだが主役を差し置いて立川談志が格の違いを見せ付ける。生きるとは。芸とは。「なんだろねぇ、わかりゃしないね」談志がつむぐ言葉には人には創造できない野に咲く花のような感慨がある。言葉のその先へ。