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薔薇の名前〈下〉

ウンベルト エーコ
おすすめ度:★★★★★
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薔薇の名前とは
おすすめ度 ★★★★★

エーコが見事に展開するこの作品で言いたい事は世界というのはとある規則と法則によって成立しておりその鍵が分かれば解けない物は無い。しかし世界という物を既に出来上がった物として認識する多くの人間はいつの時代も無知で愚かである。人間にはいまだ分からない事も「事項と事項を比較」する事は学問の始まりであり、いつかは法則が分かる日が来るかもしれない。世界や他人は衆人には謎に満ちている。比較探求の旅は人間の命題である。しかし、比較する事とは差別する事では無いし区別する事でもない、そこに上下、左右などは無い。善悪の基準を決める物でも無い。無限とも見える有限の空間の中で観念という漠然とした意味と意味を手繰りよせ恣意を介さず真意を紡ぎだす。恣意は傲慢と混沌をもたらす。ウィリアムを動かす衝動と過ちがこれに含まれよう。中世キリスト教世界の異端だ、正統だと時に私利私欲が混じり互いに争う者や知識の独占を望む愚か者達の愚昧さと事物を推論し見極めるという推理小説の形態で作り上げられた本作は実に巧みだ。ウィリアムは言う「問題はキリストが清貧であったかどうかでは無い。教会が清貧であるかどうかであり、清貧とは俗世の事物に法を定める権利を保持するか放棄するかを意味する」。ウィリアムに対する妄信者ホルヘの考え方にも一理ある。両者とも善行を望むという意味では同じだ。しかしウィリアムは「真の愛とは愛される者の喜びを願うものだ」と言い、こういう、知の為の知の追及で無い、欲望無き知の探求を進めるベーコンを尊敬し、ただの迷える子羊から羽ばたこうとする様な人間個人の尊厳を秘かに謳う様な先進的な人物であり、ホルヘの妄執とは対照的である。しかし知識の探求は間違った記号を紡ぎ合わせても偶然にも同じ結果をもたらす事もある。必然的結果を求める事自体が傲慢なのである。「人を愛する者の務めは真理を笑わせる事によって真理が笑う様にさせる事であろう。真理に対する不健全な情熱から私達を自由にさせる方法を学ぶ事こそ唯一の真理である」とウィリアムは自嘲する。そしてアドソはその象徴たる神の全能とは?という所に至るのである。最終的に偶然と必然の論議から神の存在の有無まで考察し人間と世界の在り方を問いかける本作は実に多くの物を含んでいる。7日間で両極を体験したアドソは晩年に至り何を思うのだろう。薔薇の名前とは何であろう?人によって全く違う答えであり、かつ同じ答えとなる物であろう。両極の間で揺れ動く記号という名の意味を糧に人それぞれの真理を花開いた愛憎の象徴である薔薇の美しさである。私の言う意味はそれが何かは本作を読み終えた人には分かるだろう。



下巻で更なるわくわく感!
おすすめ度 ★★★★★

長編ですが、上巻から下巻に入って、エーコの尋常ならぬ博学のなせる技はますますさえわたり、もう読者は、中世の僧院から世界の謎をかいま見させてくれそうな不思議な高まりを感じます。



記号論的小説
おすすめ度 ★★★★★

エーコは記号学者である。だから、この小説もいたるところに記号が配置され、それが推理のもとになっている。参考文献2000冊とエーコが豪語するだけのことはあって、とにかく複雑怪奇な中世ヨーロッパの信仰世界をみごとに描ききっている。特に、中世のキリスト教の信仰が「笑い」を否定しているため、「笑い」に関する本をめぐって殺人事件が起こっていくという設定は、うますぎて文句にいいようがない。



ヨーロッパという図書館
おすすめ度 ★★★★★

「時代小説」という意味では、卓越した著作です。もちろん、ヨーロッパ中世がそのままここに描かれたような姿をしていかどうかは確証できません。けれども、ヨーロッパの知の歴史が、きわめて政治的で生々しい時代の光景のなかにあったのだ、ということを直感的にわからせてくれる効果は、たしかに、この本の中にあるでしょう。これもまた、ひとつの分水嶺を描いた物語なのです。いま、私たちが生きているような、あるいはそれとは異なった。



読書の醍醐味を満喫させる本
おすすめ度 ★★★★★

「週刊文春」20世紀傑作ミステリーベストテンで堂々の第2位。しかし本書を純粋なミステリーや推理小説だと期待して読むと、いい意味で裏切られます。

確かに筋立ては中世の僧院を舞台にした連続殺人事件を中心に展開しますが、本書の主題は謎解きの面白さというよりも(純粋に謎解きという面からみた場合、トリックの奇想天外さや手がかりの配置の巧みさ、という点ではむしろ不十分かも知れません。)、古典文学や神学の知識を縦横無尽、幾重にも織り込んだ舞台設定を堪能させながら、殺人事件の解明というストーリーを通じて、「真理(真相)を絶対視することの危険性」を読者に問いかける点にあります。

本書は一読しただけでは味わいきれない、いや、おそらくほとんどの読者にとって、本書を味わい尽くすことは不可能でしょう。しかし、中世北イタリアの僧院というエキゾチシズムあふれる舞台設定と、「真理とは」という壮大な主題にむけて収斂、昇華していくストーリーを追いかけるだけで、十分に「読書の醍醐味」を満喫することができます。「20世紀中第2位」というのは少し大げさかも知れませんが、世評に恥じない大著だと思います。

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小野新二 薔薇の名前 ジャングル大帝